竹楽器「誠五音」の生い立ち
ある日、自宅の庭に偶然一本の枯れた竹が転がっていた。
その竹をぼんやり眺めているうちにふと、竹の先端の節のところが金管楽器の唄口に似ていると感じた。
これは私が中学校の吹奏楽部の頃からトロンボーンを吹いていたからだろう。
竹を手に取り、先端の節の真ん中に小さな穴を開け、他の節は全部くり抜いて中を空洞にした。
開けた小さな穴から、そおっと息を吹き込むと、かすれているが豊かで膨らみのあるいい音がした。
さらに、この竹を伸び縮みさせて竹の長さを変えることができれば、あらゆる高さの音を出すことができる楽器、
いわば「竹のトロンボーン」というようなものが作れるのではないかと考えた。
竹楽器「タケップシューズ」の生い立ち
ある日、私は数本の竹筒を腕に抱えて運んでいた。
ところがそのうちの一本を、偶然地面に落としてしまう。次の瞬間、
「カーン!」
鋭く澄んだ音が響き渡った。
あまりのいい音に、思わずその場に立ち尽くしてしまった。
そこで、試しに長さの異なる竹をいくつか地面に打ち鳴らしてみたところ、
いろいろな高さの音が、次々と心地よく響いた。
いろいろと試行錯誤を繰り返し、あらゆる長さの竹筒を足の踏み板に装着することができる竹のタップシューズ「タケップシューズ」が完成した。
「タケップダンス」の生い立ち
ある日、タケップシューズで思いのままリズムを踏み鳴らしていた。
その躍動感のあるリズムに乗り、何となく誠五音を同時に吹き鳴らしてみたところ、
偶然にも魔訶不思議な音楽が現れた。
「なんだ、こ、これは…」
すべて竹づくしの音が舞い踊る「タケップダンス」誕生の瞬間だった。
このパフォーマンスで人間の、あるいは人生の喜怒哀楽をどこまで表現できるか。
究極の感情表現への挑戦が、この時始まった。